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歯ブラシ一本の威力
 歯周病の歯を抜歯をせず、しかも、治療の繰り返しを避ける方法はありますが、それはあなた次第です。私たち歯科医は、歯周病の患者さんの歯石を取り除いたり、場合によっては手術して歯石を取ることもあります。歯茎にお薬をつけたり、かみ合わせのアンバランスを調整したり、固定と言って揺れている歯をつなぎ合わせたり、いろいろな処置を行います。このような処置は古くから、日本で行われてきている治療方法ですが、結果は全て失敗に終わりました。

 診療室で歯科医がどんな処置をしても、歯周病にかかった歯は結局、抜け落ちてしまったのです。ところが、歯垢の中のバクテリアを歯垢ごと取り除くブラッシングが、今までのどんな治療より効果的で、歯周病が目覚しく短期間で改善されると言う事実を証明した日本人がいました。それは当時、アメリカ留学から帰国されて間もない東京医科歯科大学の石川純先生でした。
たかが一本に歯ブラシの使い方で、歯周病がこれだけ改善されるとは‥‥。いったい今までの治療はナンだったのか? 衝撃的な出来事でした。これは昭和30年代後半のことでした。

 私たち歯科医が診療室でどんな処置を行ったとしても、患者の皆さんは三度の食事をしなければならないのです。食べかすが残り、そこにバクテリアが繁殖を始めた瞬間から、また歯周病は再発し進行します。長い間、歯科医が行ってきた歯周病に対する努力が失敗に終始したのは、今になって思えば、実に当然のことだったのです。

 抜歯をせず、しかも治療の繰り返しを避けるためには、皆さん自身が行うブラッシングがもっとも大切なのです。だから、「あなた次第なのです。」私たち歯科医の役割は、診療室でのいろいろな処置よりも、むしろ皆さんが日常生活の中で、自分の健康を守ってゆくために、皆さんが十分納得の行く指導することにあると言っていいでしょう。

 
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有田歯科医院  院長 有田博一
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