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歯石を取る
 抜歯をしないで、しかも治療のイタチゴッコを避けるために必要な3つの条件のうち、第1は適切な予防指導を受ける、第2は「きわめて精密な治療を受ける」でした。

 治療は診査・診断に基づいた診療計画にしたがって進めなければなりませんが、この計画の中に欠かせないのが歯石除去(スケーリング)です。

 歯石は歯垢(しこう)と唾液の中のカルシウムなどが結合して歯の表面に沈着して出来るもので、バクテリアの死がいなども含まれる大変不潔なもの。硬い歯垢とも呼ばれています。歯石は歯周病が進行するにしたがって、次第に深く、歯の根の先に向かって沈着して行くのですが、これを取り除いて、歯の根の表面をきれいにするのが歯石除去です。ところが、この歯石を取るという単純な作業がなかなか大変で、10分や15分ぐらいでは決して取りきれるものではありません。

 歯石は、歯と歯ぐきの間の歯肉溝と呼ばれる溝の中で、しっかりとカキ殻のように歯の根にこびりついています。これをごく小型の刃物を使って、手作業でこそげ取るのですが、歯周病の進行が進んだ歯ほど歯肉溝が深く、目には見えない根の表面を、指先の感覚だけを頼りに行う作業は、熟練と根気が要求される高度な技術なのです。

 どうしても歯石が取りきれないときは、手術をします。歯ぐきを骨からはがし、歯の根を肉眼で見える状態にして歯石を取るわけです。歯の根の表面を歯石のような異物がなくてなめらかな状態にしないと、歯周病を根本的に治療することが出来ないのです。

 このような手術をできるだけ避けて歯石を除去するためには、患者さんの協力が不可欠となります。歯石除去に先だって、適切なブラッシングが行われていないと、歯肉溝からの出血が激しく、とても歯石など取れるものではありませんから。

 ブラッシングをして歯石を取り、またブラッシングを続けてこそ、さらに深い歯石を取ることが可能になります。正確なブラッシングをしなければ、せっかくきれいになった根の表面にまた歯石が沈着し、イタチゴッコがはじまるのです。
 
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有田歯科医院  院長 有田博一
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